戦略サファリ

このブログを始めたキッカケの元となった書籍の紹介になります。

その名も戦略サファリです。

 

経営戦略論テキストの定番です。

10種の経営戦略論を紹介しています。

学術の研究でもベースとなっているのは、
この10種の中の1つであったり複合であったりすると考えています。

経営者は、これらの戦略論の内容について、
月に一度の「振り返り」をすると良いのかもしれません。

 

それでは、以下に10種の経営戦略論を挙げたいと思います。

 

1.デザインスクール
  「コンセプト構想プロセスとしての戦略形成」です。
  これは、SWOT分析を基本モデルとしています。

2.プランニングスクール
  「形式的策定のプロセスとしての戦略形成」です。

  根本に流れる考え方は、世界を再認識すること、
  与えられた課題の前提条件を問いなおすこと、
  そして現実を見る見方を変えること、つまり目線を上げることになります。
  「想定できないことを想定すること」が重要だそうです。

3.ポジショニングスクール
  「分析プロセスとしての戦略形成」です。
  ポーターの「競争の戦略」(5フォース)や
  「競争優位の戦略」(バリューチェーン)というような

  分析に重きを置く戦略論です。
  しかし、見えないものを五感を総動員して捉えようとする努力を
  このスクールが科学的見える化によって失わせてしまったようです。
  効率だけを重視し、過去の延長線上にだけ解を求めても、
  戦略自体がコモディティ化するだけで、どこにも未来がないということを
  著者等は強調していいます。

4.アントレプレナースクール
  「ビジョン創造プロセスとしての戦略形成」です。
  起業家精神に学ぶという戦略論です。
  1人のリーダーの直感・判断・知恵・経験・洞察といった
  人間の知的活動における戦略形成および
  戦略ビジョンに焦点を当てています。

5.コグニティブスクール
  「認知プロセスとしての戦略形成」です。
  人間の頭脳と情報処理能力に着目した戦略論です。
  日本においては、心理学と経営学の距離はまだまだかけ離れています。
  モチベーションの強化や、コミュニケーションの質の向上は
  現場の生産性の問題としてスローガン的に常に叫ばれていますが、
  表面的ポジティブ思考だけが先行し、行動科学という観点からの分析や
  洞察が追い付いていないという現状です。
  
6.ラーニングスクール
  「創発的学習プロセスとしての戦略形成」です。
  センゲの「組織学習」の動向、
  野中郁次郎と竹内弘高による「知識創造」、
  プラハラードとハメルの「コアコンピタンス」などを取り上げて
  組織学習の限界と問題点に触れながらも、すべての実践的な戦略行動は
  計画的コントロールと創発的学習の組み合わせであることを強調しています。

7.パワースクール
  「交渉プロセスとしての戦略形成」です。
  ミンツバーグ(著者)等は、戦略形成において、
  パワー(政治や権力を含む影響力の行使)の重要性を明示し
  戦略形成の1つのスクールとしてカテゴライズしています。
  なぜなら、営利企業が市場における競争優位のポジションを
  獲得する戦略を実現するには、組織内の利害関係や
  外部組織との利害関係を、自らのパワーによって
  有利な方向へと誘導することが不可欠になるからです。

8.カルチャースクール
  「集合的プロセスとしての戦略形成」です。
  ミンツバーグ等は、カルチャーの構成要素を
  世界に対する解釈とその解釈を反映する行動として捉えています。
  1990年代以前の日本企業の成功は、
  日本のカルチャーに大いに関係すると考察されてきました。
  しかし、その後の長く続く停滞を背景に、
  「それは本当なのか?」という疑問が出ているのは確かであるが
  今の時代的文脈の中で再度熟考することは重要であると考えられています。

9.エンバイロメントスクール
  「環境への反応プロセスとしての戦略形成」です。
  環境が、戦略を規定し、組織はあくまでも環境に
  従属する受動的なものとなる考え方です。
  リーダーシップとは、環境を把握し、
  組織が適応していることを保証するものにすぎないと捉えます。
  ここでの環境とは、組織以外のすべてを指します。
  このスクールの発端は、「条件適応理論」にさかのぼります。
  この理論によれば、アメリカとフランスでパン屋が異なるように
  状況が変われば行動も変わる。
  すなわち、戦略マネジメントは「最善策が1つだけ」あるのではなく
  環境の様々な側面に起因して、「時と場合」によって変化するものと
  捉えています。
  ダーウィンの進化論になぞらえ、絶滅の危機に直面する様は
  生態学とリンクして大変興味深いです。
  重要なことは、自らの組織がどのような環境にいて、
  自らは一体どういう生物であり、今後はどうあるべきか、
  ということを深く客観的に理解した上で、戦略を決定・実行することではないか。

 

10.コンフィギュレーションスクール
  このスクールは、一言でいうと「変革をどうマネッジすべきか?」
  という課題に対して、組織が置かれる状況をどう捉え
  次への変革のプロセスをいかにコントロールするのかという考え方を
  示したものといえる。
  しかし、このスクールは変革のハウツーを示した規範的アプローチではない
  ということに注意が必要である。

 以上です。読んで頂いてありがとうございます。

 

戦略サファリ 第2版 -戦略マネジメント・コンプリート・ガイドブック

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